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【開催報告】2025.11.17 (月) tenten cafe 番外編! 社会科見学@福島第一原子力発電所
転入者が福島のことをより深く知るため、暮らしに役立つ知識を得るために、現地で学ぶことを目的に企画している「tenten社会科見学」。
今年は11月17日(月)に放射線リスクコミュニケーション相談員支援センター主催の福島第一原子力発電所視察ツアーを開催しました。普段はなかなか入ることのできない現場に足を運び、廃炉作業の最前線に触れる貴重な機会となりました。福島に暮らす私たちにとって、原発事故はいつも心の片隅に置いて生活しなければならない問題。報道で知っていることはあっても、それが本当なのか? 実際、廃炉や処理水の放出は今どんな状況なのか?──その答えを自分の目で確かめる一日となりました。

福島駅西口からバスで富岡町にある廃炉資料館へ出発。 福島県立医科大学の大葉先生にもバスに同乗していただき、 車内で「放射線の基礎知識」講座を行っていただきました。 放射性物質、放射線、放射能とは何かという基本的なことから、分かりやすく教えていただき、クイズや質疑応答を交えながら、放射線でがんのリスクが高まる理由や、福島の子どもに甲状腺がんが多いという噂の真偽なども 分かりやすく教えていただきました。甲状腺がんはもともと症状を出さないことが多く、積極的に検査を行った福島では”見つかりやすい”という背景があることも学びました。また、話題の処理水についても、従来は「運転していない原発からの処理水」の放出にルールがなかったことや、IAEAの評価がある一方で社会の理解が追いついていない現状、そして海外の稼働中の原発では福島の処理水よりも高濃度の放射性物質を含む処理水が放出されているにもかかわらず、福島だけが大きく取り上げられている現状など、ニュースだけでは分からない情報を知ることができました。

廃炉資料館に到着すると、会議室に通され、事前に申請した身分証明書で本人確認の後、構内での注意点などの説明を受けました。シアタールームでは震災当時の状況を映像で見て、原発で何が起きていたのかを改めて知る時間に。続いて、原発の配置マップや廃炉に向けた作業についてもスタッフの方から丁寧に説明いただき、昼食をとった後、いよいよ原発構内へ向かいました。

廃炉資料館から原発まではバスで約20分。途中で帰宅困難区域に入り、検問所を通過すると少し緊張感が高まります。原発に到着すると「入退域管理棟」で厳重なセキュリティチェックを受け、カメラやスマホなどの私物は一切持ち込めません。服装は長袖・長ズボンに線量計の携帯が必須でしたが、想像していた防護服やマスクは不要だと知り驚きました。現在、福島第一原発では環境整備や除染が進み、約96%のエリアで通常作業服のまま作業できるレベルになっているそうです。
その後、海側に建つ1〜4号機を見渡せる展望施設「ブルーデッキ」へ。建屋に近づくにつれてバスに設置された線量計の数値が一気に上がり、「こんなに変化するんだ」と車内でも小さなどよめきが起こりました。バスを降りてデッキに立つと、わずか100メートルほど先に原子炉建屋があり、その“近さ”に驚かされます。水素爆発の有無や今後の作業計画によって、1号機から4号機それぞれが異なる屋根や囲いで覆われており、建屋ごとの状況の違いをはっきりと確認することができました。

この日はちょうど16回目の処理水排出が終わる日で、処理水の放出が進む中、タンクの解体も進んでいるとのことでした。原発周辺には以前桜が1,000本も植えられていて、本来はとても美しい場所だそうです。この日は晴れて暖かく、海の波も穏やか。景色の美しさと今の現状との対比に心が痛んだ、と話す参加者さんもいました。

最後に、皆さんからいただいた感想を一部ご紹介します。
「原発への怖さや嫌悪感もあったけれど、見学中に線量の高いところで作業している方の姿を見て、私たちの暮らしの安全を守るために大変な思いをして働いていることがよくわかった」
「まさに百聞は一見にしかず。ニュースを鵜呑みにせず、自分の目で見て、現場の話を聞けて本当によかった」
「福島の現状を友人や親戚によく聞かれるので、今後は第一原発を見に行った事、施設周辺の状況や東京電力の方達の努力についても話したいと思います。」
放射線や廃炉について実際に専門家の話を聞き、自分の目で原発の現在の姿を見ることで、これまで漠然と抱えていた不安が少し解消して、理解につながったという声も多くありました。廃炉の完了まではまだ長い時間が必要だと言われていますが、着実に作業が進んでいることも確認できました。いつかまた、この地域が本来の美しさを取り戻し、人々が安心して訪れる場所になることを願い、これからも福島について、自分たちなりに向き合い続けていきたいと思いました。
案内してくださった放射線リスクコミュニケーション相談員支援センターの皆さん、東京電力の皆さん、そして参加してくださった皆さんありがとうございました。

東北電力では月に一度、福島県民向けに原発の視察・座談会を開催しています。
今回のtenten caféには参加出来なかったけれど、興味があるという方、ぜひ参加してみてください。
※視察の被ばく量ですが、今回は0.01ミリシーベルト(歯科レントゲン1回相当)でした。
*tentenはtentenパートナー企業と共に福島県に転入する方をWELCOMEします!
コバックス株式会社
八光建設株式会社
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学校法人福島成蹊学園
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イースマイル株式会社