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tentenインタビューvol.8 鷲谷恭子さん ~“ママ目線”から生まれたセカンドキャリアづくり~

郡山市
県中

子育て期間中のママたちが、“2時間から”働く。
それってどういうこと?2時間なら働けそうだけど、本当に?
福島県へ転入後、「ワークシェアリングで2時間から働く」という取組みをしている鷲谷恭子さんにお話しを伺いました。

▲福島県郡山市出身。大学卒業後、鉄道会社にて旅行商品の開発等を手がける。2009年に郡山市へUターン。中学3年生と小学5年生となるふたりの子育てをしながら、子育て支援や国際交流活動に携わってきた。2019年、女性の多様な働き方をサポートするため「2hours」を開業。同年10月、税理士法人三部会計事務所とのジョイントベンチャー(株)ケイリーパートナーズを設立。2hours代表、(株)ケイリーパートナーズ取締役を務める。

Uターンより、Iターンの感覚で郡山市へ

郡山市へのUターンは、東京での子育てに違和感を持ったのがきっかけ。
「夫は秋田、わたしは福島で伸び伸びと育った。でも、東京では赤ちゃんの頃からお受験の話題。こんなに小さいころからそんなこと考えるの?!って驚いた」。自身が育った環境に比べて窮屈な東京での子育てに不安が募り、地方での生活を模索することになります。
とはいえ、郡山市ありきではなかったそう。ご主人の地元である秋田も含めて検討した結果、交通アクセスの良さから郡山を選んだのだとか。
「18歳で地元を離れていたので、正直、郡山のことはそれほど詳しくない。だから、感覚的にはUターンというよりIターンに近いかもしれない」。
郡山市に戻ったのは2009年、上のお子さんが幼稚園に入るタイミングでした。
それから2年後の2011年に東日本大震災。混乱の中で子どもを守ることに懸命な毎日だったそうです。しかし、これが転機となりました。
「福島という土地で子育てする母親として、何かしなければならない」。そう考えるようになったのです。

外に出ると見える世界が変わる

子どものために、街のために何かしなければ、という一心で始めたのがボランティア活動のお手伝い。それは、震災に対する海外からの支援を子どもたちに届けるというもので、子育てに専心してきた毎日から、「一歩外に出た」という感覚だったそうです。
会社経営者や地元紙の新聞記者など、さまざまな立場の人に出会い、刺激を受けたことで見える世界が変わってきました。

大学で地方自治や地域振興を学び、鉄道会社に就職後は街づくりに関わる企画・運営などを行ってきたことから、商工会など地元のために動く人々と触れ合ってきたそうです。
「ボランティア活動を始めたことで、郡山にも地域を想い、街づくりに奔走する人たちがいるんだと知ってワクワクしました」。

子どものため、街のために始めたボランティアで、社会とつながるワクワクを再確認する。このボランティアが1日に2時間の活動だったそうです。
鷲谷さんが代表を務める「2hours」の根幹をなす「2時間」は、この時の経験がベースになったもの。「子育てや家事に支障をきたさない範囲で何かをしようとする場合、1日に2時間なら捻出できる」そう感じたそうです。

“ママ目線”が生んだ2時間という働き方

結婚前、あるいは出産前にどれだけキャリアを重ねても、いちど仕事を辞めてブランクが生じると、再出発のきっかけを得るのは難しい。働きたいという意思を持ちながらも、週に〇時間以上というラインをクリアするのは簡単ではない。
一方で、経営者からは人材不足という声が挙がる。
「働きたい人」と「働き手を求める事業者」をつなぐことはできないか。
自身の経験から得た「2時間」をもとに、ワークシェアリングについて考えを巡らせるようになりました。このアイデアをブラッシュアップした結果、2019年1月に“ふくしまベンチャーアワード2018”で優秀賞、2月“第1回郡山地域クラウド交流会”で優勝。「声を挙げることで共感が得られることに気づいた」そうです。

2019年5月、2hoursを創業し、経理事務のスペシャリストを目指す「0→1経理スペシャリスト」というメニューで、経理の講座と研修実施。10月には税理士法人三部会計事務所とともに(株)ケイリーパートナーズを設立。働き方は1日2時間から。事業者から請け負った経理事務やバックオフィス支援、営業支援などの業務を行っています。

経理、というと専門的な分野で未経験者にはハードルが高いように感じられるかもしれません。しかし、スキルを身に着けることでセカンドキャリアを描く武器になると考えています。
「子育ての傍らパートを始めても、子どもの急な発熱や学校行事などでお休みや早退することが重なって結局やめてしまうママさんが多い。彼女たちの負った心の傷を感じていた」。とはいえ、子どもはいつか大きくなる。状況はいつか変化する。だからこそ、目の前の仕事ではなく、その先を見据えてキャリアプランを描けるスキルの重要性を感じる。
始めは不慣れかもしれないけれど、ワークシェアリングの強みはチームで仕事をしているということ。お互いに補い合ったり、教えあったり、時に悩みを共有したりとメリットは大きいでしょう。
2時間から働ける、子連れで出勤できるという柔軟な働き方は、働きたい多くのママたちの希望になり得るはずです。

▲スタッフはお子様を連れて出勤も可能。交代で子どもの面倒もみながら仕事に取り組みます。

短い時間でも働きたい、すべての人へ

“ママ目線”で生まれた2時間という働き方、と言いながらも、“子育て中”の“女性”限定しているわけではない。自身が“ママ”であることから生まれたアイデアではあるものの、ひとつの属性に限定しない。
女性だけではなく、男性も。
子育て中だけではなく、介護などほかの理由でも。
長時間働くのは難しいシニアや、障がいを抱える人も。
「短い時間でも働きたい、そう思うのはママだけではない」という観点から、時間に融通が利く働き方の模索を続けている。そうすることで、地域はもっと良くなるはずだと信じて。

転入女性は仕事探しが大変?!

夫の転勤や結婚など、新しい土地、知り合いがいない場所に引っ越してきた女性にとって自分の居場所づくりは大きな課題。
仕事をしたい、という気持ちがあってもどこで、どんなふうに働くのがいいのか相談する相手はいません。
まして転勤族は、数年後にはいなくなるため長期勤務を望むような職場からは敬遠されてしまうことがあります。
それでも資格や豊富な経験、あるいは本人にガッツがあれば、そんなことは問題にならないでしょう。しかし、武器になるような資格も経験もなく、働ける時間も決して長くはない。
そういった人にとって、2hoursの働き方は選択肢のひとつとして、リスタートのきっかけとして魅力的なものかもしれません。

まとめ

2020年5月現在、わたしたちの生活はとても不自由な状態にあります。
会社で働く人も、家庭を切り盛りする人も、かつて経験したことがない事態と向き合っていることでしょう。
鷲谷さんにお話をうかがったのは、事態がこれほどに深刻化する直前。
わたしたちは不安を抑えて、明るい未来の話をしました。
家庭と仕事のバランスがとれたより良い働き方。
考え方や方法を少し変えることで拓けるかもしれない未来。
鷲谷さんが描く未来は、希望にあふれています。
笑顔とともに語られることばは、人を惹きつけてやみません。
ただお話を聞いているだけで、限りない可能性を感じずにはいられないのです。
だからこそ、「では、わたしは何ができるか」を自分に問うてしまいます。
事態が収束して、会いたい人に、会いたいときに、会えるようになって鷲谷さんに再びお会いできれば、その時「わたし、コレができるようになったんです」、そう言えるように、今は静かに自宅で自分自身の棚卸しをしたいと思います。

▶2hours
https://m.facebook.com/2hours2019/https://www.2hours.jp/

▶株式会社ケイリーパートナーズ
https://www.facebook.com/KALEYPARTNERS/

 

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