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福島に来たからには見ておこう!震災の現実と復興の足跡をたどる浜通り震災振り返りツアーレポ

相双
いわき

2011年3月11日に起こった東日本大震災。福島県の浜通りは、津波被害を受けたほか、原子力発電所の事故も併発した地域で、震災の爪痕が色濃く残る場所と復興が進む場所が混在しています。私も縁があり福島に転入したからには、被災地を一度この目で見ておきたいと思い、中学生と小学生の子どもを連れて浜通り震災振り返りツアーをしてきました。普段の旅行とはちょっと違う旅。皆さんの旅の参考にしてみてください。

浜通りを縦断する1泊2日のツアー工程

今回の旅の目的は2つ。「子どもたちに普段は見えない福島の被災地の現実を見てもらうこと」と、「浜通りの海の幸を楽しむこと」 。

被災地の現実を見るために、浪江町の「請戸小学校」と双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」をマストの目的地とし、浜通りの海の幸はいわき市の地元鮮魚店で購入することにしました。宿泊場所には2019年4月に避難解除となった大熊町大河原地区にある「ほっと大熊」を選びました。

南相馬市からいわき市まで1泊2日で浜通りを縦断した工程はこちらです。

1日目

Restaurant MADY(南相馬市原町区)
埼玉から移住したご夫婦が2022年3月にオープンしたレストランでランチ。知人におススメしてもらったお店です。念のため予約しておきましたが、予約して正解。当日は満席でした。

てつ魚店(南相馬市原町区)
会津や中通りにはなかなかない鮮魚店。ほっと大熊は素泊まりで大熊町内には食事場所がほとんどない(かつ土日は休みのところが多い)ため、南相馬で新鮮なお刺身、お寿司、お惣菜を購入し持ち込みました。

JR小高駅(南相馬市小高区)
震災後、南相馬で酒造りを始めた「haccoba」が、無人駅であるJR小高駅に醸造所とマーケットスペースを作ったとニュースで見たので行ってみましたが残念ながらお休みでした。小高駅から徒歩7分の場所にhaccobaのお店があるので、いつかそちらにも行ってみたいです。

道の駅なみえ(浪江町)
2021年3月にオープン。無印良品のテナントや フードコートがあります。ここで子どもたちとクレープを食べて一休み。ポケモンのキャラクター「ラッキー」の遊具があるラッキー公園も併設。

震災遺構・請戸小学校(浪江町)
津波被害を受けた請戸小学校が、現在は震災遺構として一般公開されています。津波被害を受けた教室などがそのままになっており、子どもたちにもわかりやすく当時の話が絵本仕立てで     掲示されているので、     その日の様子を伺い知ることができます。福島県子育て支援カード「ファミたんカード」を提示すると、小中学生は入場料無料。


津波被害を受けた校内がそのまま残っています
当日の様子が絵本仕立てのパネルになっており、こどもでも理解しやすくなっています

大高山霊園(浪江町)
請戸小学校からおよそ2キロ先にある大平山。請戸小学校の生徒・教員が津波を避けるために向かった場所で「児童たちを救った山」として語り継がれています。ここから請戸小学校を見ると、この距離を小学生たちが自力で走って歩いてきたんだと感慨にふけります。

ほっと大熊(大熊町)
2021年にオープンした日帰り入浴・宿泊ができる複合施設。家族で泊まれるファミリールームがあり、お風呂にはサウナの設備も 。食事は持ち込み可能で、共有ラウンジには電子レンジやポットが設置されています。コーヒーやインスタント味噌汁、スープの無料サービスあり。入浴スペースの休憩所には無料で使えるマッサージチェアや、漫画・雑誌読み放題のタブレットも。

2日目

ほっと大熊
朝風呂を楽しみ、のんびり。朝食には、隣の施設にある「コミュニティキッチン090(オ-クマ)」 で前日にテイクアウト購入したハンバーガーを。朝7時から開いてるデイリーヤマザキでも朝食は購入可能です。

JR双葉駅周辺(双葉町)
2022年8月に避難解除されたばかりの双葉駅周辺。復興を願ったウォールアートを見たり、13年前のまま残っている廃墟を車窓から見学。13年間時が止まったままの光景には色々考えさせられるものがあります。それとは対照的に、駅西側には新しい災害公営住宅が立ち並びます。

東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)
1日に数回、語り部さんのお話を聞ける時間があり、それに間に合うように向かいました。 地震、津波、原発事故の被害を伝える資料や証言映像に加え、タッチパネル、模型などもあり、とても情報量が多く、すべてを理解するのは大変です。子どもには、展示物に合わせたクイズに回答するためのタブレットの無料貸出しがあります。小学校中学年~高学年レベルの問題でした。

タブレットのクイズに答えるために展示物を見る娘(小5)

道の駅よつくら港(いわき市)
フードコートでは海鮮丼などが食べられます。直売所で野菜やお土産物も購入可能。

鮮場やっちゃば平店(いわき市)
いわきの海産物専門店「おのざき」が入った商業施設。常磐ものなど鮮魚の購入が可能。

※2日目のランチは、本格タイ料理が食べられる富岡町の「サラータイ」や、広野町にあるJビレッジ内でアラカルト料理が楽しめる「レストラン アルパインローズ」もおススメです。

子どもたちの反応は・・・

実際に震災・津波被害の爪痕が見て分かる請戸小学校を訪問したときが、子どもたちの反応が一番大きかったです。同じ年齢ぐらいの子どもたちが、この小学校に、あの日にいたことが信じられないようでした。
津波の威力を肌で感じたのと同時に、中学生の息子は「何mの津波が来たらこんな被害を受けるのか」「津波が来ると言われても家族や家にあるものが気になって逃げられないかもしれない」と話してくれました。
「命さえあれば何とでもなるから、まずは自分の命を守るため、家族の事は考えずに逃げえることが大切」というメッセージを家族で確認した時間でした。

一方、伝承館は、説明パネルなど読み物が多く、原発事故についての説明も難しいので頭にあまり入っていないようでした。

まとめ

最終日に、子どもたちに「この旅で一番思い出に残ったのは?」と聞いたところ、「ほっと大熊!」と2人とも回答(笑)。お風呂と無料で使えるマッサージチェアでのんびりできたこと、共有ラウンジで食べた持ち込みのお刺身やお寿司が美味しかったとのこと。子どもたちにとっては、普通の旅行として楽しめたようです。

いつか、どんなタイミングかは分かりませんが、請戸小学校で感じたことなどを思い出すことがあるはず。福島で生まれ育つ人間として、実際に被災地に訪れたという経験は活きてくると思います。

みなさんも、福島にいるうちに、浜通りの震災を振り返る旅に出てみてはいかがでしょうか。

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