住む福島に転入予定の方へ

県北ふくしまぐらしのリアルトーク!先輩移住者3人に聞く、福島ぐらしのリアルを知る移住セミナー

県北

2023年12月17日、東京都千代田区の「ふるさと回帰支援センター」にて、福島県県北移住セミナー「県北ふくしまぐらしのリアルトーク ~ぶっちゃけ福島で暮らすってどう!?」が開催されました。
福島県へ移住を検討している方を対象に、福島県 県北地方振興局が主催、tentenが企画運営する本セミナー。12名の方にご参加いただき、福島市に移住・Uターンした方等3名をゲストに、福島での子育て、まちづくり、転職なき移住生活の話、福島移住の推しポイントや要検討事項など、「ふくしまぐらしのリアル」をお聞きしました。

(聞き手:一般社団法人tenten代表 藤本菜月)

福島ぐらしのリアルをこの人たちに聞きたい!

Iターン7年目の転勤族ワンオペママ 真部さとみさん

青森県出身の真部さんは、福島市にIターンして7年目の転勤族ワンオペ2児の母です。夫は東京に単身赴任中。
中学2年の息子さんは凸凹児で特別支援クラスに通っています。都会と比べて将来の選択肢が少ないのが気になっているそう。小学4年の娘さんは福島市で唯一受験が必要な国立小学校に通っています。先生が各科目の指導方法の研究者であるところが特徴です。塾に通わせる家庭も多く、勉強面では親のフォローは必要だと感じているのだとか。
真部さんは、福島市へ転入したときに、tenten主催の「WELCOMEワークショップ」に参加して、顔見知りの知り合いができ、世界が広がったといいます。
その後、tentenの地域活動をサポートするtentenサポーターに挑戦したり、全国展開する観劇を通じた親子の会「子ども劇場」などの地域活動にも参加しながら、親戚がいない福島市で人とのつながりを作って今は楽しく生活しています。
娘さんと小野町にある「リカちゃんキャッスル」に通ったことでリカちゃん人形にハマった真部さん。洋服をハンドメイドしたり、「リカ活」を通じてSNSで仲間もでき、福島で生活も趣味も充実した日々を送っています。

1年間の期間限定福島生活を経験した生粋の東京人 芦沢透子さん

東京都出身、埼玉県在住の芦沢さんは、昔から漠然と地方暮らしにあこがれを抱いていました。自分の理想の生活に近づけるよう、何度か転職をしています。「自然の中で働きたい」と、リゾートホテル会社へ転職し、東京から青森へ頻繁に出張していたことも。
2021年に夫の福島市への転勤が決まった際は、会社と交渉し、リモートワークを活用して1年の間、東京と福島の2拠点生活を実現。週の前半は東京勤務、後半は福島で在宅ワークというスケジュールでした。
福島市は果物がおいしく、温泉が素晴らしく、登山など自然のアクティビティも充実していて、春夏秋冬で違う楽しみがあると芦沢さん。ラーメンのレベルが高いことにも驚いたそうです。福島市にいた1年の間にすっかり魅了され、「もっと福島のことを知りたい」とtentenの活動にも参加しました。
夫が東京勤務に戻った後には、福島県に近いという理由で埼玉県に住居を構え、今も2ヶ月に1回は福島に通っています。
2023年夏からは再び夫が福島市に転勤になり、今度は夫が埼玉と福島の2拠点生活を楽しんでいるのだそう。50歳で福島にセカンドハウスを建て2地域居住するためにお金をためています。

Uターンし福島でカフェ経営とまちづくりに奮闘 齋藤友希さん

福島市出身、27歳・独身の齋藤友希さん。
大学時代は福島市の自宅から宮城県の大学へ通学。若者目線だと福島は何もない街で、良いイメージがなかったと振り返ります。
大学を卒業後、仙台市の旅行会社に2年半勤めた後、福島にUターン。人の縁に恵まれ、退職からわずか1か月後、カフェとシェアハウスの複合施設「Vase」を福島市内にオープン。若者が夢を語ったり、デートに使えたり、齋藤さんが高校生の時にほしかったという「若者のための空間」を作りました。現在4年目となります。
カフェのお客さんは福島大学や福島学院大学の学生、社会人になりたての若者など、20代が中心。福島市出身じゃない若者が多く集まる交流の場にもなっています。その中で齋藤さんはお兄さん的存在。
「福島をもっとイケた街にしたい!!」と2023年には株式会社Ploionを創業し、まちづくりに関するイベント企画運営、地域に根ざしたフリーペーパー発行、WEBマガジンの制作運営を、カフェ経営と合せて展開しています。コーヒーをテーマにしたPloion主催イベント「THE COFFEE’S」は、2日間で4000人を集客!今後はさらにホテル業に進出したいと野望を持っています。

それぞれが感じる福島ぐらしのリアルとは!?

芦沢さん|交通の便もよく、長野や山梨とはちょっと違う田舎暮らしがきる福島市

(藤本)
なぜ福島に住みたいと思ったんですか?他の地域との違いは?

(芦沢)
新幹線で90分で来られるアクセスの良さが最大の魅力です。
福島市は都会すぎず、田舎すぎないけどレトロ感もある。こんなにちょうど良いところは他にはありません。
例えば、夫の実家がある神奈川県鎌倉市や横浜市は観光地化しすぎて派手ですし、郡山市もレトロ感がなくて。逆に私の実家がある長野県は田舎すぎます。
田舎暮らしへの憧れがあるけど根っこが便利で育ってしまったので、福島市はそういう人向きかもしれません。

(藤本)
福島市での車なし生活は大変ではなかったですか?

(芦沢)
「車がなくても不便じゃない」とは言えませんが、徒歩圏内にスーパーがあったのでなんとかなりました。基本はバス移動で、月一でレンタカーを借りて遠出していました。市内は平坦な道が多いので、図書館や運動施設への移動には自転車が便利でした。

(藤本)
福島市の観光地としての魅力はどのようなところですか?

(芦沢)
身近に温泉があるところですね。福島市内の3温泉地(飯坂、高湯、土湯)には公共交通機関やレンタカーで行けますし、それぞれ全然違う泉質が楽しめます。
それと、福島にいると看板が少なくて「こんなに景観のきれいな街はないな」と感じます。旅行先にはすっきりした風景を求めているので、まるでドイツのような、海外にいる気分です。
観光地化している長野県、山梨県、神奈川県などで運転したり電車に乗ると、嫌でも目に入る案内板や広告をうるさく感じるほどです。

真部さん|挨拶をきっかけに人とつながる。心豊かな子どもが育つ環境が福島にはある

(藤本)
人とのつながりはどのように作りましたか?

(真部)
仲良くなるコツはあいさつでしょうか。
近所に引っ越しのあいさつをしたり、実家から送られてきたものをお裾分けしたりしています。仲良くなれば余った果物をいただけるようになることも。
福島の方は控えめな方が多いので、自分からおかしを配って話しかけて輪に入っていきました。こちらが話しかけると向こうも話してくれると思います。

(藤本)
習い事など、お子さんの生活環境はどうですか?

(真部)
共働き家庭が多いからか学童に通っている子が多く、近所には放課後一緒に遊べる子どもがいませんでした。
塾や習い事をさせるにも、福島では基本親の送迎が必要です。また、関東圏では、習い事が合わずに辞めてもすぐに次が見つかりますが、福島では選択肢が少なめですね。

(藤本)
福島の教育環境についてどう感じていますか?

(真部)
神奈川県と福島県郡山市で小学校の先生をしていました。
私の主観でお話すると、関東の子は学力は高いけど、図工の授業で色をうまく使えないなという印象があります。一方で、福島の子は絵が上手な子が多い印象です。自然が身近にたくさんあるからか、心豊かな子が育つのではと感じます。

齋藤さん|スモールビジネスには最適な街。かつて自分が欲しかった居場所を福島市に

(藤本)
学生時代、良い印象がなかった福島にUターンした理由は?

(齋藤)
感覚的な部分が大きいのですが、自分が生まれた土地だということと、人とは違うことをやりたいという考えが強かったので、「自分が学生の時に福島になかった『若者が集えるハブ空間』を作ろう。他にやってる人がいないから福島でやろう」と考えてUターンしました。
東京や仙台のカフェで見たものや良い部分を取り込んで、福島に刺激を与えたいと思っています。

(藤本)
福島市での起業についてどう思いますか?

(齋藤)
福島市はスモールビジネスを始めるには良い街だと思います。仙台や東京に比べればまだ誰もやっていないことが多いからです。
福島市では、事業者同士がお互いに紹介し合ったりして街全体の仲がいいのもポイントです。Vaseもある大町周辺にはおしゃれな店も増えてきています。
Vaseには市内で飲食業をやりたいという子も集まるので、よく相談に乗っています。背中を押すこともありますが、「カフェで飯食っていくのは大変だよ」と、現実的なことも伝えています。

夏が暑すぎ?生活費が高め?福島市の要検討ポイントも赤裸々に

医療機関の選択肢が少ない

(真部)
子どものアトピーを診てもらうための皮膚科が毎回激混みです。発達障がいを専門で診てくれる児童精神科医もいません。関東圏と比べると医療機関の選択肢が少ないですね。

生活費が高い

(真部)
福島市は水がとても美味しいけど水道代が高いです。ガソリン代も高いので、生活費はそれなりにかかります。

(齋藤)
生活費が高いのと、家賃も福島の賃貸は仙台などの都市圏と比べると少し高い印象です。
開業・起業者向けの物件も、駅前は強気な家賃を提示してくるので、助成金を使ってもちょっと高くつきます。Vaseのある大町周辺は比較的落ち着いた価格で借りられます。

(芦沢)
私は生活費の高さはトータルで考えるとそんなに気にならないかな。東京と比べると家賃はかなり安いです。駐車場代は0円のところが多いですし、東京だとコインパーキングは10分300円しますが、福島駅前でも最大料金で800円ですから。

夏は暑く・冬は寒い

(真部)
福島市は冬は雪が中途半端に降るので、豪雪地帯に比べて除雪がうまくないですね。

(齋藤)
夏は暑くて湿度も高いですし、冬は寒いです。
12月末~2月頃まで雪が降るので、毎日店の前を雪かきして、疲れた状態でお店を開けています。小さい道は除雪が入らずカチカチに凍るので、毎年転んでけがする人も多いです。冬の間は通学や通勤で自転車に乗れなくなっちゃいますしね。

公共交通機関が少ない

(芦沢)
車なし生活をするのに欠かせない路線バスの本数が少ないです。
あとは、福島空港行きのバスがなく、飛行機の行き先が少ないことも残念ですね。年1回は海外へ行きたいですが、仙台空港は車で1時間以上かかるので。

ーーー

(藤本)
3名のゲストのみなさん、福島市の良いところも残念なところも、包み隠さずお話しいただきありがとうございました。
今回は福島市を中心にお伝えしましたが、同じ県北でも二本松市東和町は有機農業の研修制度が充実していますし、大玉村や本宮市は郡山市や福島市に行きやすいベッドタウンもあります。必ずベストなところがあるので、ぜひ探してみてください。

私たちtentenでも福島の暮らしの情報を届けています。
福島に来る前に知りたかった情報、来る前に教えてあげたい情報などを、移住者目線で発信しています。
tentenのイベントに参加してもらえれば人のつながりもできるので、安心して福島に来てください。

福島に移住・転入した女性が、福島の暮らしの情報を発信するサイト
https://tenten-f.info/

移住に興味がある人はぜひ一度「NPO法人ふるさと回帰支援センター」相談を

福島ぐらしにちょっとでも興味関心をもった方は、「ふくしまぐらし相談センター」へ。有楽町駅すぐの東京交通会館8階の「NPO法人ふるさと回帰支援センター」には福島県のブース「ふくしまぐらし相談センター」があり、移住相談員・就職相談員が常駐しています。オンラインと対面で相談に乗ってくれますよ(要予約になります)。

福島県に限らず、全国44都道府県の移住情報の収集に役立つ「資料コーナー」、地方の仕事探しができる「ハローワーク」も設置。44都道府県と1政令指定都市の相談ブースがあり、複数件の組み合わせも可能です。ぜひ気軽にご利用ください!

まずは、相談など「動く」ことから始めてみることをおススメします。
http://ふくしまぐらし相談センター(福島県公式移住相談窓口)/福島県移住ポータルサイト「ふくしまぐらし。」 (fukushima-iju.jp)

まとめ

3名のゲストのお話からは、「水道代が高い」「ドイツみたいに景観が良い」「起業するなら福島市はハードル低め」といった、実際に移住・Uターンして生活したからこそわかる情報が盛りだくさんで、12名のセミナー参加者はとても参考になった様子でした。
移住を検討している方は、人生の大きなターニングポイントに後悔のない選択ができるよう、移住セミナーや情報サイト、相談窓口などを上手に活用してくださいね。

【参考】県北地方ってどんなところ?

福島県は浜通り・中通り・会津の3エリアに分かれており、県北は中通りの北寄りで、福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村の8市町村を指し、県内でも移住者の多い地域です。そして、以下の3つの特徴があります。

①ほどよい田舎(移住に適した環境)
東京から約90分とアクセスが良く、市街地のすぐ近くには果樹園や田んぼがあり、大学や医療機関も揃っています。温泉、キャンプ、スキー場、川や湖など、癒しスポットやアクティビティも楽しめます。

②移住実績
令和4年度の移住実績は、322世帯、540名で過去最多。令和5年度の上半期データも昨年度より数が伸びています。

③手厚い支援制度
移住希望者向けに、以下のような支援制度を用意しています。
・ふくしま移住支援金
・ふくしま移住希望者支援交通費補助金
・住まいコンシェルジュ
・住宅補助支援
・ふるさと回帰支援センター内の「ふくしまぐらし相談センター」に移住相談員と
就職相談員が常駐して相談窓口を開設
・福島県県北地方振興局に移住コーディネーターを配置し、移住相談、現地案内を実施

そのほか、県北地方振興局主催で地域内で移住者を対象にしたワークショップ交流会、フィールドワークなどの交流会も開催し、転入者と地域とのつながり作りをサポート。各市町村でも独自の支援策を打ち出しており、各市町村サイトや「ふくしまぐらし」ポータルサイトで発信しています。

(福島の暮らしの情報を発信するサイト「tenten fukushima」ライター:齋藤幸子)

ふくしま転入女性コミュニティ
(tentenコミュニティ)に参加しませんか?

福島へ移住・転入を考えていて情報収集がしたい、移住・転入してきたけど知り合いがなかなかできない、と不安や不便さを感じていませんか?
tentenでは転入先の暮らしに少しでも早く慣れるように、そして思う存分楽しめるようにFacebookグループで福島転入女性のためのゆるいコミュニティを立ち上げました。
すでに住んでいる転入者から福島の情報を教えてもらったり、仲間づくりに役立ててください。
※2023年7月現在約400名が参加しています。

詳しくはこちら LINE@でも情報を発信しています

SHARE

お友達に情報をシェアしよう

関連記事

記事を探す

PageTop