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tentenインタビューvol.11 渋川晴子さん ~ママたちにもっと元気になってもらいたい!転入女性から、居場所・つながりをつくる側へ~

会津若松市
会津

新しい土地での生活はただでさえ不安が多いのに、出産や育児が重なればそれはなおさら。
会津若松市でピラティスサロン「クラーラ」を開く渋川さんは、運動と講座を抱き合わせた教室を開催し、不安や孤独を抱え、引きこもりになりがちなママたちを元気づけ、ママを社会とつなぐよう奮闘しています。ご自身も転入女性である渋川さんに、転入してから居場所を作る側になるまでのお話や、教室について、そして転入女性へのメッセージを伺いました。

▲渋川晴子さん。栃木県塩谷町出身。理学療法士。2児のママ。 大学卒業後、相談員やインストラクターを経て、専門学校に再入学し、理学療法士の国家資格を取得。結婚を機に夫の実家のある会津若松市に転入。長女の出産後、インストラクターとしての豊富な経験と、理学療法士の専門的知識を活かし、ピラティスサロン「クラーラ」をオープン。2017年からは、産後に引きこもりがちなママの心と身体のリフレッシュを目的とする、産後ケア体操教室「チアマミー(Cheer Mommy)」を開講。これまでに約170人のママたちの産後をサポートしてきた。

弱点が強みに

大学でスポーツ科学を学ぶ傍ら、バスケにも取り組んでいた渋川さん。173センチという長身もバスケの世界では小さく、弱点となっていました。それを克服したい気持ちから、「トレーニング科学」の存在を知ることに。トレーニング科学を取り入れた筋トレで当たり負けしない身体となり、筋トレの魅力に気づいたそう。
それは後の人生で軸となるピラティスにつながりました。大学卒業後は高校で相談員として働くも、身体の動かし方などについて教えることに専念したい!とフィットネスインストラクターに転職。その後クリニックの生活習慣病ケア用トレーニングルームの立ち上げに参加。勤務の傍らエアロビクスや整体など、他分野にも挑戦。
「身体の動かし方は伝えられても、理論が伝えられないことにもどかしさを覚えました。その時に周りにいた医師や作業療法士などの国家資格を持つ同僚たちに刺激され、私も理論を学びたくなりました。」一念発起して専門学校の門をたたいた渋川さん。理学療法士を目指した3年間の学びで「整体で学んだ東洋医学も理学療法もやっていることは同じ。すべてがつながり、おもしろさを感じた。」といいます。
いろいろな分野への挑戦や資格取得も経て、渋川さんが選んだのは「ピラティス」。卒業後はピラティスインストラクターとして働きました。

「きっかけは、人がくれるもの」

渋川さんは、結婚を機に会津若松市に転入。それから1年で長女を出産し、子育て支援センターなどに出向くも馴染めず、涙することもあったそう。
転機が訪れたのは産後1年が経った時。ピラティスに携わっていきたい!と産後も手伝っていた会津若松のピラティスクラスの講師が、旦那さんの転勤で埼玉に引っ越すことになり、その講師のピラティス用のマシンを引き継ぐことに。さらに住んでいるマンションの隣りに、元ダンス教室だった鏡張りの部屋が空いていることが判明。すぐに借りることができ話が出てからわずか1か月のうちに、トントン拍子で話がまとまりピラティスサロンのオープンが決まりました。
とは言えまだ産後1年で心身ともに疲れている時期に、そんな決断をするのは並大抵のことではないはず。「そういうタイミングだったんでしょうね。自分ではやりたいと思っていても、決断できずにいたから。そんなもんです。」と明るく振り返ります。

「きっかけは、人がくれるもの」と話す彼女の言葉通りお客さんも引き継いで2014年、念願のピラティスサロンオープンにこぎつけました。転入者にとって、知り合いが少ない転入先で顧客開拓をするのはとても大変な事。渋川さんは転入先でピラティスクラスに通い、つながりを作っていたことでこの課題もスムーズにクリアできました。

産後ママを「チア―アップ(Cheer up/元気づける)」

2017年からは自分自身が産後に孤独を味わった経験から、ママの行く場所を運動とセットで提供したい!と思い、産後ケア体操教室「チアマミー」を開講。初年度は、骨盤ケアに効果的なピラティスやボールを使ったエクササイズのほか、ママの夢を明確にする「ドリームマップ」作り、親子の育ち合いを支援する「子ども劇場」の方を招いた交流など、子育てミニ講座が付いたコースを開きました。
次年度からは、子育てミニ講座が付いた「本コース」のほか、エクササイズのみを行う「運動コース」を新設し、単発での参加も可能となりました。3年目となる2019年度は渋川さんの次女出産と重なったものの、新たに加わったスタッフに助けられ教室を続けることができました。
中でも、「ドリームマップ」作りは、渋川さんの経験に基づいて教室に導入。「長女の出産から1年ほど経った時、『自分が本当は何がしたいのか』に迷っていて。その時たまたま教えてもらった『ドリームマップ』作りが気になり、子どもを預けて東京まで作りに行くことに。自分の夢がモノや家族、社会とつながって可視化され、ビジョンが開けたことに感動。自分のサロンでも早速取り入れることにしました。」と即実践。「子育ては身体だけじゃない。ママの気持ちがついてこないと身体もついてこないし、ママは笑顔になれない。ママの笑顔って赤ちゃんにとって一番の栄養だから。」ドリームマップはたくさんのママを笑顔にしています。

チアマミーの会場は初年度からずっと、市内の木育広場「もくれん(https://www.lotusjapan.org/mokuren.html)」。無料の託児もついていて、保育園も運営している「もくれん」の運営NPO法人「Lotus(ロータス)」の専門スタッフがすぐそばで子ども達を見てくれ、安心して講座に集中できる環境が整っています。休憩時間中の授乳もすぐでき、子どもを抱っこしながらバランスボールをすることだって可能です。

新型コロナウイルスの流行直前、見学に行くと、7人のママたちが参加していました。参加者にお話を聞いてみました。「子どもを生んだ後も運動できる場所があるのはいい。アップテンポの曲で身体を動かしたら、気持ちもスッキリして開放されました。他のお母さんとも話せて、離乳食の悩みを共有できてほっとしました。自分のために時間を使ってリフレッシュすることで、自分を高められた気がします。」とエクササイズのあと、さわやかな笑顔で話してくれたママ。
身体を動かすことで自然と心までほぐれ、笑顔になれる。まさにママたちを「元気づける」場になっている。見学をしながらそう実感しました。

目指すは「出産したらチアマミー」

「産後のケアはとても大切。だからこそ、出産したら、『赤ちゃん訪問(市町村が実施している乳児家庭全戸訪問事業)』で紹介されるくらいに『チアマミー』を広めて、みんなに参加してもらいたい。実際のところ、公的機関とのつながりは難しいけれど、参加者が増えて評判が広まることで、逆に向こうからアプローチが来たらうれしいですね。」と話す渋川さん。

参加者の中には、産後に適度な運動をしたい!と通いだし、それきっかけに、自分がこうしていきたいということに気づく人が多いそう。初年度に「チアマミー」を受講し、その翌年からはインストラクターとして渋川さんの産前産後をサポートしてくれた加藤祐歩さんもその一人。
小さいころから習っていたバレエを活かし舞台関係の仕事についていた加藤さんは、結婚を機に仕事をやめて郡山市から会津若松市にUターン。加藤さんは「長女の出産後、ピラティスに興味があって『チアマミー』に参加。ヨガに比べて柔軟性が必要なく、どんな人でも気軽にできるピラティスに魅力を感じました。」そしてちょうどインストラクターを募集していたこともあり、インストラクターの資格取得を決めたそう。今では渋川さんを支える重要なスタッフの一人です。

「ピラティスサロンの運営だけでなく産後ケア体操教室を開講したことで、計り知れないほどに発展しました。」と嬉しそうに話す渋川さん。「自分は与える側だと思っていたけれど、スタッフや参加者から逆に与えられていると感じることもある。自分もたくさんの刺激を受けて、共に成長している。」と言います。今ではサロンも教室も、自分の子どものような存在に。「いつの日か、子どもが自立するように一人歩きして、みんなから必要とされるような場所になってくれたら。」と夢は膨らみます。

「とにかく、街に出て」

転入女性たちに向けて、渋川さんからメッセージをいただきました。
「自分も経験者だからわかる、転入女性の気持ち。最初は怖いけど、やっぱり自分が出ていかないと。そうしたらやりたいことがだんだんと見えてきて、人がつながってくる。ママ友が欲しくて子育て支援センターに行った時は全然つながらなかったけれど、ピラティスを始めたらどんどんつながって、今があります。出ていく場所が違ったのだと気づきました。でも、間違ってもいいから外に出てみれば、いつか自分が生きやすい場所がみえてくると思います。」
1、2年かけて転入先の周りのことや人を理解し自分を伝えられるようになる中で、だんだんと馴染めるようになります。また引っ越しがあるかもしれないけれど、その過程を経たことは自信になるはず!とも渋川さんは話してくれました。

▲渋川さん(中央)と、スタッフの加藤さん(右)佐藤さん(左)

見知らぬ土地でのサロン開設は苦労も多かったと思いますが…
「自分でやっていくしかないんです、頼れる人がいないから。でもそれが自分にとっては頑張ろうというエネルギーになった。」と振り返ります。周りに知っている人がいないからいろいろ言われず、好きなようにできるメリットもあるのだとか。逆に「外から来たのに、頑張ってるね!」と言われることもあるそうで、「好きなことやって褒められるのはうれしい」と話す渋川さん。「チアマミー」は今や、多くの人を元気づけ、きっかけを与える場となっています。

まとめ

初年度に参加した時の写真(前列左が私です)

3年前2人目の出産直後、会津に住んでいた私も「チアマミー」の参加者でした。当時の私は3年後、引っ越しを経てtentenの記者になり、この紹介記事を書いているとは想像もしていませんでした。今後を迷っていた私に、将来を考えるきっかけをくれたのも「チアマミー」でした。
新型コロナウイルスの発生で、サロンは休止を余儀なくされるなど苦労もあったと思います。けれどピラティス動画のライブ配信を始めたり、オンラインで「チアマミー」教室を開催したり、歩みを続ける渋川さん。辛い時だからこそママたちの背中を押し続けている姿に、私もまた元気をもらいました。

7月からはさらにバーションアップして、全国のママたちを幅広く応援する取り組みも始めました。ママたちに自分の時間と身体を大切にしてほしいとの思いから、身体を動かす朝活をサポートするライブ配信です。興味のある方はどなたでも、気軽に参加してみてくださいね。

▲7月5日に開催されたFacebookでのライブ配信の様子
初めての人でも安心の基本の動きを教えてくれました。

ピラティスサロン「クラーラ」
住 所: 〒965-0042 会津若松市大町1-2-53 山口ビル2階B
T E L: 090-8784-4141
Facebook: https://www.facebook.com/pilates.salon.clara/
HP:https://reserva.be/wakiwaki

産後ケア体操教室「チアマミー(運動コース)」
毎月最終火曜日10:00~10:30
オンライン開催
参加費は1500円/回
申込はホームページの問い合わせ、あるいは、公式LINE (https://lin.ee/lxOcKDT)まで

全国のママを支援するライブ配信(7月から開始)
毎月第1日曜日5:45~6:00 Facebookでのライブ配信 (次回は8/2)
毎月第3日曜日5:45~6:00 Instagramでのライブ配信 (7/19を予定)
どちらも無料(申込不要)
Facebook、Instagramで「ピラティスサロンクラーラ」のページをフォローするとライブ配信が見られる

ふくしま転入女性コミュニティ
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すでに住んでいる転入者から福島の情報を教えてもらったり、仲間づくりに役立ててください。
※2023年7月現在約400名が参加しています。

詳しくはこちら LINE@でも情報を発信しています

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