tentenインタビューvol.4柳沼さん~6回の転勤を経て、我が家が定住を決め、夫が新幹線通勤になるまで。そこから得た新天地での生活を作り上げる知恵~
引越しの理由が「家族の都合」という方は多いのではないでしょうか?
パートナーの転職や転勤などの家族の都合の場合、自分の希望の土地への引越しではないことも多々あります。
そして、引越し後の知り合いも少ない土地での新しい生活は苦労も多いものです。
今回は、2人の子育てをしながら旦那さんの転勤で6回の引越しを経験し、現在は郡山市に定住する主婦の栁沼悦子さんに、引越し先での生活を楽しむポイント、転園・転校をする子供たちへの対応、定住を決めた理由などをお伺いしてきました。
新しい土地でも心強い、同じ環境の家庭の方との交流と助け合い
―6回の引越しとのことですが、どこの土地への転勤だったのでしょうか?
(栁沼)会津若松市→いわき市→福島市→新潟市→福島市→会津若松市→郡山市の6回ですね。転勤の期間は決まりがなく、大体2~3年ごとの転勤で、異動の3週間前くらいに辞令が出るかんじでした。
―それはご主人はもちろんのこと、一緒に引越しする家族も大変ですね。毎回新しく生活基盤を作り直さないといけないと思いますが、引越し先ででは、どのように生活スタイルを開拓していったのでしょうか?
(栁沼)転勤先での住居は毎回社宅だったので、同じ社宅の方々に転勤先の地域情報を教えてもらえてとても助かりました。社宅には子どもがいる家庭も多かったので、幼稚園はその子どもたちと同じところに登園を決めたり、年上のお兄ちゃんお姉ちゃんが、幼かった自分の子ども達を遊びに連れて行ってくれたりして、子ども達もすぐに友達ができたのは良かったです。子ども達の遊びに行く先が同じ社宅内なのも安心でしたね。なにより、引越先の土地で実際に生活している方の情報はとても重宝しました。
―社宅で身近に同じ境遇の方がいて、交流があるのは心強いですね。栁沼さんが引越し先で慣れるために行っていたことはありますか?
(栁沼)子ども達が新しい環境を楽しめるようにすることが第一だと思っていました。なので、市の広報に載っている公民館の子ども向けの体操や音楽教室などのイベントに、積極的に参加しました。子どもも楽しみながら、私も子育て世代の方とも交流ができるので、お友達を見つけたり情報交換したりと、人とのつながりを作ることができました。外へ出かけることが、新たな楽しみなどを見つける良い機会になっていたと思います。
―市の公報であれば情報も得やすいですね。引越しが多い中で、生活環境が変わる子どもへの対応はどのようにしていましたか?
(栁沼)新しい環境で早く友達ができるように見守りました。引越する時には、子ども達がお友達とのお別れで涙をながすこともありました。その時は私も心苦しかったですね。でも、子ども達はスポーツ少年団でサッカーや野球をやっていたので、引越し先でもそれぞれの少年団に入団したことでスポーツをきっかけにお友達ができることも多かったです。子どもが好きなことで交流が広がるのは、親として嬉しかったですね。
短期間での引越しと子育てしながらの仕事はできることを無理なく
―家族のためにとても沢山努力されてきた様子が目に浮かびますが、子育てと旦那さんの転勤がある中でのお仕事はされていました?
(栁沼)私が自分の実家に住む時期があって、その時は次の引越しの時期も決まっていたので、半年ほどパン屋さんでパートの仕事をしました。子どもが学校へ行っている時間の中で働きました。その当時は、周り(旦那さんと同じ職場の転勤のある家庭の主婦の方々)も仕事をするのは子どもがある程度大きくなった方などが多かったです。でも皆さん次の転勤を見据えて短期間の仕事を選んでいましたね。
私は定住を決めた今は子どもも独立したので、短期間の仕事をしたり、趣味のパッチワーク教室に通ったりしています。転勤による引越しを気にしなくていいので、何をするにしても続けられないかもしれないというプレッシャーがないのでチャレンジしやすいです。
私は今も短期の仕事を選んでいますが、「転勤族の間は引越しをも据えての短期の仕事」などその時々でできることを無理なくできたらいいのかなと思っています。
―そうですね、無理のない範囲で家庭と自分のやりたいこととのバランスをとれると充実しますよね。やはり、頼れる人が少ない土地では、子育てなどにある程度余裕ができてから働く方が多いのですね。
引越し生活にピリオド。定住するきっかけは子どもの高校受験
―現在は郡山市へ定住されているとのことでしたが、定住を決めた理由は何だったのでしょうか?
(栁沼)子どもの高校受験です。高校では大学受験などを考えると、転校させたくなかったので、中学生のうちに生活拠点を決めました。なるべく家族一緒に暮らしたかったので、転校はあっても子ども達が小学生の間は家族全員での引越しを選んでいたのですが・・・主人が長男だったこともあり、定住場所は主人の地元を選びました。
―定住後は旦那様は単身赴任だったのですか?
(栁沼)家の完成までは単身赴任で、家が完成してからは新幹線通勤になりました。
―新幹線通勤ですか!でも家族が揃って暮らせるのは嬉しいことですね。
(栁沼)自分の家があるのは主人にとっても嬉しいようです。今でも家を大事にしているので(笑)新幹線が使えれば、通勤時間がそんなにかからないので、勤務先の土地が新幹線のある場所なのもラッキーでしたね。それから、主人の勤め先は交通費が全額支給だったのも助かりました。新幹線の高額な交通費も自分で負担しなくてよかったので、定住することを迷わなくてすみましたね。
―勤め先で交通費を支給してくれるのは本当に嬉しいですね。会社の福利厚生もきちんと把握して、利用できるところは上手く活かしたいですね。
(栁沼)定住を決めた頃には義理の両親も高齢になっていたので、近くに住めることで主人も安心したようです。もしかしたら、主人はもっと早く実家の土地へ帰りたかったのかもしれません(笑)私としても同じ土地にいられるのでとても落ち着いた生活になりました。
今、振り返ると、転勤で新しい土地での新たな出会いや観光地巡りはとても楽しかったです。転勤がなかったらなかなか訪れることができなかった所へも遊びに行けましたし。
だけど、荷造りと荷解きが大変で、引越しはもうできないなぁ(笑)若かったから6回の引越しも乗り越えられたのだと思います。
―これまでの経験からこれから引越しされる方へのアドバイスはありますか?
(栁沼)そうですねぇ。引越しの技などは持っていないのですが...
子育て中は特に、エレベーターのない建物で上の階の部屋はおすすめしません。私もエレベーターのない建物の5階に住んだことがありますが、とにかく大変でした。子どもを抱っこしたり、けがをしないよう見守りながら、荷物を運ぶのに苦労したなぁ。
それから、虫の出る家かどうかも確認できるといいですよね。虫が出る住まいの時は精神的にきつくて早く引越ししたかったです(泣)虫が苦手なので、心労でけっこう痩せました(笑)寝起きする場所が安心できないのは、かなりのストレスですよ。
もし、住まいを選べるなら、築年数や周囲の衛生環境などはチェックするといいと思います。
引越しはとにかく体力がいるので、健康管理をしっかりして、無理せずにやってほしいです。引越し後には新しい土地での生活が待っていますからね。
まとめ
子どもの転校や、自らの仕事の進退など、転勤の際の決断は大きなものです。そんな大業を6回もこなしてきた栁沼さん。
引越し先でも家族が一緒にいられた時間は、たくさんの思い出として残っているそうです。当時の話を振り返る際は、笑顔が絶えなかったのが印象的でした。
私も転勤族で引越しを重ねていますが、子どもも生まれたり、職場を退職したりと自らの生活環境やスタイルも変化し続けています。
そして、その時々で子育てに専念するべきか、将来を見据えて仕事をすべきか、仕事をするならどれくらいできるのか毎回悩んでいます。
その答えは個人でそれぞれ違います。
今回のインタビューを終えて、家族と自分の笑顔が一番大事なのかなと思いました。今できることを、自分の環境と見合わせながら実践し、笑顔でいられるように、日々生活していきたいです。