tentenインタビューvol.13 嘉斎愛さん〜農家に嫁ぐのに必要なのは勢い?!人との繋がりと優しさを感じながらの農家ライフ~
結婚を機に福島へ転入してきたという人も多いのではないでしょうか。知らない土地へ行くという不安もある中、嫁いだ先で家業を手伝わなければならないとなるとさらに不安が膨らみます。
今回お話を伺った嘉斎愛さんも結婚を機に福島へ転入。家業の果樹園を継いだ夫を手伝っています。転入前の気持ちや、現在の生活、今後の展望を伺いました。
記事を読んで、農家に嫁ぐ予定のある方、嫁いできた方の不安が少しでも和らげればと思います。
「楽しそう!」勢いで福島への転入を決意
農家と知った上での交際
横浜市出身の嘉斎さん。大学卒業後、地元の保育園で栄養士として勤務していました。そんな中、友達の結婚式で旦那さんと出会います。
「友達に『あの人結婚してる?』って聞いたら、『してないけど福島の農家だよ?紹介するのはいいけどどうするの?』と言われました。」
農家と聞いたら、少し考えてしまいそうですが、それを聞いた嘉斎さんの反応は「すごい!!いいじゃん」でした。「人間関係のギクシャクなど会社で働くというのを辛く感じていて、自営業に憧れもありました。ゆったり、自分のペースで働くのもいいなと。」
そんなポジティブな気持ちで、結婚を前提に交際が始まり、1年半の交際後めでたく結婚し福島へ転入しました。
一番の不安は農家の嫁になることではなかった!?
福島に来る際に一番不安だったことは、交通の便。免許は持っているもののペーパードライバーである嘉斎さん。電車を利用して生活しようと思っていたものの、駅まで遠く、都会と比べ電車の本数も少ない福島。そのため、運転の必要性を感じているそうです。旦那さんに助手席に乗ってもらい、近所のショッピングセンターへ運転したりと少しずつ練習中。 一方で、農家の仕事に不安はあまりなかったそう。
「結構楽観的で、楽しそうと思っているうちに勢いで行っちゃえと思って。考えれば考えるほど冷静に不安やネガティブな思いが出てくるだろうから行きたい、やってみたいと思っているうちに行こうと思いました。」
交際している時から何度か旦那さんの果樹園を訪れ、お手伝いもしていたそうです。少し体験してみる程度だったそうですが、その時も楽しいなと感じていた嘉斎さん。事前に農家の仕事をイメージできていたのも結婚後のギャップが少なく、良かったのかもしれません。
思ってた以上に寒い!でも人は温かい!
「楽しそう!」という勢いで福島へやって来た嘉斎さん。実際に福島に来てみて、気候の違いと人の温かさを感じました。
「思っていた以上に寒かったです!でも人はみんな優しい。南の方は開放的なイメージがあるけど、東北はどうなんだろうと思っていました。でも来てみたら、旦那さんの親族の皆さんがすごいウェルカムで温かい。」
嘉斎さんが来ることを親戚皆んなで楽しみにしてくれていたそうです。しかし、そんな恵まれた環境の中でも最初は悩みもありました。
「仕事に関しては、最初は仕事の流れがわからず、ついていくのがやっとで自分がどこまでやっていいのか、役に立っているか悩みました。できる仕事を探すことを頑張りました。」
悩みながらも旦那さんや義理のお母さんに聞いたり、近くの農家さんに習いに行ったりしながら徐々に農家の仕事の流れを掴んでいったそうです。
農家は作物を通して人と繋がれる仕事
季節ごとの仕事で目まぐるしい毎日
嘉斎果樹園では、野菜と果樹を並行して栽培しています。野菜は、トマト、なす、ほうれん草、小松菜。果樹は、桃と梨を栽培。お米も少し作っています。
農家の仕事は季節によって変わります。春はトマト、なすの苗の手入れ、夏はトマト、なす、桃の収穫。秋は梨の収穫や稲刈り。冬は剪定などを行います。農家の仕事は多岐にわたるのです。
「流れがあるので、どのシーズンに何をやるかというのが決まっています。最初は全然わからなくて、ついていくのがやっとでこれで役に立てているのかという葛藤がありました。」
農家に嫁いで2年程経ち、やっと慣れてきたという嘉斎さん。旦那さんや義理のお母さん、周りの農家さんの優しさに支えられながら農家の仕事を頑張っています。
人と繋がれるというやりがい
嘉斎果樹園では、果樹をネットショップで販売しています。また、Instagramでは果樹園の様子を投稿しています。旦那さんが始めたInstagramは、今は嘉斎さんがメインで更新を担当。
「ネットショップ以外で地域の昔から付き合いのある人から直接頼まれて発送することもありますが、Instagramをみて地元の友達から問い合わせがきたりもします。DMやコメントで美味しかったと言われるととても嬉しいです。」
昔からの付き合いも大切にしながら、インターネットでの発信の必要性も感じている嘉斎さん。地域の人、全国の人からの声を聞くことで農家の仕事にやりがいを感じているそうです。
農家に嫁いだ自分にできること
農園のブランディングと果物を通じて人が繋がれる場所を作る
ネットショップやInstagramを通して、地域だけでなく全国の人たちと繋がることができたと話す嘉斎さん。今後挑戦したいことも話してくれました。
「農園のブランド化をしていきたいと思っています。果樹は今は桃、梨だけですが、今後ぶどうも作ることができれば、果物の定期便などのサービスができるかなと思っています。郵送用の箱にロゴを入れたりして、ブランディングしていきたい。」 桃、梨の時期は果樹園の直売所でも販売を行っていて、義理のお母さんがメインで運営しているそうです。今後、栄養士の知識を活かしカフェのような場所を作りたいという思いもあるそう。ネット販売などで県外の人と繋がれる一方、福島県内の人、須賀川の地域の人との繋がれる場所を作り、リアルでの繋がりも大切にしていきたいと話してくれました。
農家へ嫁ぐ転入女性へメッセージ
農家に嫁ぐ予定の方に向けてメッセージをいただきました。
「勢いが大事なのかなと思います。来てみたら毎シーズンやることがあって楽しく過ぎていきます。嫁ぐ前に少しお手伝いなどをさせてもらって体験してみるのもいいかもしれません。福島の人は助け合いの気持ちが都会よりも強いと感じます。助けてもらいながら、できるようになっていければ。思っているほど心配する必要はないのかなと思います。」
まとめ
都会から農家に嫁いだと聞くと、いろいろな不安があったのでは?と思っていましたが、嘉斎さんは意外にも楽観的な考えで福島に来たと聞き驚きました。自分が「いいな、楽しそうだな」と思ったらあまり深く考えずに突き進むというのも大事な考え方なのかもしれません。また、「福島の人は優しい」というのは、同じ転入女性として私も感じたことです。
知らない地に行くことは不安がつきものですが、あまり悩み過ぎず、周りを頼ることが楽しく生活できるポイントなのかもしれません。
【基本情報】
嘉斎果樹園
住所:須賀川市和田道72
ネットショップ:https://kasaikajuen.base.shop/
Instagram:https://www.instagram.com/kasai_kajuen/ (@kasai_kajuen)
桃、梨のシーズンは直売所でも販売。
Instagramで果樹園の様子、作物のお知らせをしています。DMにてお問い合わせも受け付けています。