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結婚を機に福島に移り住んだ私が、暮らしになじむまで

新しい土地に移り住むって、ワクワクする反面、不安や戸惑いもつきものですよね。
私自身も結婚をきっかけに福島へ引っ越し、最初に感じたのは期待よりも「寂しさ」と「不安」でした。知らない土地で、頼れる存在も知り合いもいない。「本当にやっていけるのかな?」と、心細くなる日もたくさんありました。

でも大丈夫。毎日の暮らしの中で出会う人や小さな出来事が、少しずつ心を和らげてくれるんです。最初から地域を好きになろうと頑張らなくても、自然と居場所は育っていく。

そんな実感を、私の体験からお話しします。

▲毎年家族で訪れる地元で有名な小沢の桜

新しい土地での最初の違和感と喪失感

結婚を機に始まった福島での暮らし。 正直なところ「自分で選んだわけではない土地」だったので、新しい生活にワクワクする気持ちよりも、地域特有の習慣、義両親との価値観の違い、方言がわからないもどかしさなど、戸惑いの方がずっと大きかったです。

好きだった仕事も辞め、親や友人とも離れて、頼れる人も気軽に話せる人も身近にいなくなり、その寂しさから孤独を感じていました。
私は生まれ育った地元で培ってきたコミュニティや社会とのつながり、色々なものを失ったのに、夫は隣りの家に両親が住んでいて、地元の友人も、仕事も、苗字も。結婚しても何一つ変わらない。「なんで私だけ?」そのイライラを夫にぶつけることもあり、「自分で選んだ道なんだから」と言い聞かせながらも、ふと「どうしてここにいるんだろう」と思う瞬間が何度もありました。

でも今振り返ると、それは誰でも経験する「新しい環境への自然な戸惑い」だったのだと思います。

好きになれなかった地域から、少しずつ変わっていった見え方

そんな中、私を救ってくれたのは「自分のための一歩」でした。

ある日、偶然見つけた「Webライター養成講座」のチラシ。不平不満ばかりを言って不貞腐れて暮らす毎日に、「このままではだめだ!何でも良いから何か始めたい!社会ともう一度つながりたい!」と思い切って講座に参加してみたら、それが思わぬ転機となったのです。

もともと読書や文章を書くことが特に好きでも得意でもなかったのですが、当時はとにかく新しいことを始めたい、その気持ちだけでした。
パソコンに向かって文章を書く時間は、余計な考えが消え自分を取り戻せるひとときとなり、講座で出会った仲間にも励まされながら仕事をするうち、「社会とつながっているんだ」と少しずつ感じられるようになりました。

ライター講座受講をきっかけに徐々に仕事をいただくことも増え、素人ながらも真面目に取り組んだことで、復興支援員の仕事を紹介してもらう機会にも恵まれました。人とのつながりが増えていく中で、「地域に馴染まなきゃ」と焦る気持ちも和らいでいきました。

無理に好きになろうとしなくても、誰かの役に立っていると感じられる仕事や趣味の時間をもち、自分を信頼してくれる人との関わりが増えていくことで、焦らなくても自然に「ここで暮らし続けていくこと」の実感が持てるようになった気がします。

▲子どものおかげでつながりが増えた小学校の運動会

好きになろうと頑張らなくても、暮らすことで見えてくるものがある

暮らしていると、自然と地域との接点も増えていきます。
田舎は特に、子どもの数が少ないためクラスの親と仲良くなりやすかったり、子ども関係の行事やイベントは多く、親同士の関わりも自然に増えていきます。幼稚園のPTAを3年間務めたことで、色々な地域に友人もできました。また人と関わる機会の多い今の仕事のおかげで、地域イベントの運営に関わらせてもらったり、高齢者の友人もたくさんできました。

私の場合、子どもと仕事が人との接点を増やしてくれたように思います。そんな小さな出会いが積み重なったことで、移住して5年経つ頃には違和感や喪失感は薄れていました。気づいたら「どうしてここにいるんだろう」という気持ちが、「まあ、ここでの暮らしも悪くないな」に変わっていたのです。

だからこそ、移住を考えている人や、当時の自分に伝えたいことは、
 「焦らなくて大丈夫。少しずつ、居場所はできる」ということです。すぐに新しい土地を好きになろう、馴染もう、と頑張らないでください。暮らし続けることで、なくしてしまったものは埋まっていきます。

▲仕事で運営として関わった地域の盆踊り大会

最後に

移住は、新しいスタートではあるけれど、最初から楽しいことばかりではありません。私みたいに田舎暮らしに憧れて来たわけではない人は、なおさら違和感や孤独を感じやすいと思います。福島の暮らしをすぐに好きにはなれなかったけれど、今では「あのときの孤独も、この土地を受け入れるために必要な通過点だった」と思えるようになりました。

これから移住を考えている方へ。最初は不安が大きいかもしれません。けれど、「自分で選んだわけじゃない土地」でも、日常の中で小さな喜びや安心を見つけていけば、必ずその土地は「自分の居場所」に変わり、「自分の物語を紡ぐ場所」になっていきます。

この記事が、新しい暮らしへの不安を少しでも減らすきっかけになったら嬉しいです。

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