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こんな時はどうしたらいい!?福島での水害対策について改めて考えよう

県北
福島市

もうすぐ東日本大震災発生から丸13年。今年に入って早々に能登半島地震が起き、防災について改めて関心を持っている方も多いのでは。
振り返れば、2019年台風や2023年9月の豪雨災害など、福島は地震も多いけど水害も多い!ということで今回は、これまでtentenで公開してきた水害対策記事を振り返ると共に、福島市で防災士として活躍するイラストレーターのico.さんに対策を聞くなど、福島市を中心とした福島の水害対策についてまとめました。

※洪水の写真を記事内に使用しています。ストレスを感じる場合は閲覧をお控えください。

 

 

 

 

令和元(2019)年台風19号水害を振り返ろう

福島市郷野目地区 福島第一中学校付近の様子(2019/10/13撮影)

地球温暖化や異常気象の影響で、毎年のように大規模な水害が全国で発生しています。中でも県内で被害が大きかったのは、令和元(2019)年10月12日に発生した東日本台風による水害です。
短期間で記録的な降雨を観測し、阿武隈川の氾濫、支流の堤防の決壊などによって、県内の広範囲にわたり家屋などの浸水被害が発生。死者38名、全壊家屋1,470棟、最大避難者数は26,175人に上りました。過去の水害と比べても水位の上がり方が非常に早かったそうです。

福島市の家屋等被害世帯数(令和2年3月23日現在)

・床上浸水:537世帯

・床下浸水:343世帯

・その他:140世帯

合計 1,020世帯

福島市|令和元年東日本台風(台風19号)浸水被害地区図より

水害対策やtenten体験談の記事をまとめました

tentenでは、2019年10月13日~16日にかけて、「一般社団法人Bridge for Fukushima」と「NPO法人ホールアース自然学校」と連携し、現地の様子を撮影するなどして、被害状況を当WEBサイトで発信しました。特に被害が大きかった福島市郷野目、岡部、鳥谷野、伊達市梁川地区、二本松市安達ケ原入り口、本宮市中条地区、郡山市古川地区、赤木町などの被災状況を写真付きでレポートしました。

4日連続で状況をレポートしたことで、復旧進捗の把握につながった(伊達市梁川町 2022/10/16撮影)

「台風19号・福島県内の状況について(10/13)(Bridge for Fukushima×tenten共同プロジェクト)」
https://tenten-f.info/article/840/

「台風19号・福島県内の状況について(10/14)(Bridge for Fukushima×ホールアース自然学校×tenten共同プロジェクト)」
https://tenten-f.info/article/876/

「台風19号・福島県内の状況について(10/15)(Bridge for Fukushima×ホールアース自然学校×tenten共同プロジェクト)」
https://tenten-f.info/article/906/

「伊達市のボランティアセンターの運営のお手伝いをします(10/16)」
https://tenten-f.info/article/913/

さらに、台風19号で避難勧告・避難指示を受けた転入女性2名に、後日インタビューを実施。
福島市内の避難所に避難した方と、郡山市内の自宅で垂直避難を選んだ方の体験談を記事化しました。
貴重な経験談が、みなさんのいざという時の参考になるはずです。是非ご一読下さい。

「台風で避難勧告・避難指示が出た!転入女性の避難経験談①~避難所に避難した方のお話~」
https://tenten-f.info/article/936/

「台風で避難勧告・避難指示が出た!転入女性の避難体験談② ~自宅で垂直避難した方のお話~」
https://tenten-f.info/article/1087/

また、福島市から郡山市に引越したtentenライター柳沼さんも、引っ越し早々、ゲリラ豪雨により家の前の道路が冠水した経験から、郡山の水害防災対策についてまとめた記事を書いてくれました。

「もしもの時は大丈夫!?郡山市の水害防災対策について調べました!」
https://tenten-f.info/article/642/

防災士が提言する水害対策「ハザードマップと現実を見よう」

2022年5月にico.さんが開催した防災企画展「腰抜かしている場合じゃない」

防災士の資格を持つico.(イコ)さんは、宮城県名取市出身、福島市在住のイラストレーター。2011年の東日本大震災では宮城県で被災、福島市に移り住んだ後の2019年の台風19号でも被災し、流失・浸水によって自宅を2度も失った経験があります。さらには、車を持たない生活、未就学児の子育て中、ペットと同居という環境下で防災に高い意識を持つように。
「自身の体験談や防災知識、教訓を多くの人と共有したい」と思い立ち、自身の被災体験や防災をテーマにした4コマ・イラストなどを制作し、宮城県や福島県で防災展を開催してきました。

2022年10月には防災士の資格を取得。市や県、企業、消防署などからの依頼で、親しみやすいイラストを使って防災情報を発信するほか、小中学生・町内会・自治体などに向けて防災ワークショップや講演も行っています。

ico.さんの被災体験や防災に関するイラスト作品はこちらの「防災ポートフォリオ」にまとめられいます。
防災ポートフォリオ -BOUSAI PORTFOLIO-

小学生向け防災キャンプで「被災シミュレーション もしもすごろく」をグループごとに作成(ico.さん提供)

そんなico.さんに、福島市ではどんな水害対策が有効かを聞いたところ、

「ハザードマップと現実を見よう」

とメッセージをいただきました。

ハザードマップで自宅や職場、学校などの安全性/危険性を把握し、いざというときの避難方法を家族で話し合うことが大切です。
当てにしていた避難所が被災して使えなかったり、定員オーバーで入れなかったりすることもあるため、最低2か所は候補を挙げておくとよいですね。
豪雨から浸水するまでの時間がとても短いため、避難所に安全にたどり着けそうにない場合は、自宅や近くの建物の2階以上に避難することも視野に入れてください。

現在、福島市が作成しているハザードマップは5種類あります。

福島市|災害を知る(過去の災害・ハザードマップ)
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/bosai/bosaikiki/hazard/index.html

・土砂災害ハザードマップ
・洪水ハザードマップ
・火山防災マップ
・ため池ハザードマップ
・内水ハザードマップ

水害に直接関係するのは、火山防災マップを除いた4種類です。
 
ico.さんは、2019年は被害の大きかった郷野目地区に住んでいて被災しましたが、約30年前にも水害※ があったことは被災後に初めて知ったのだそう。ご近所との交流があれば、過去の災害情報を教えてもらったりして、落ち着いて対策ができていたかもしれないと振り返ります。
※1986年(昭和61年)、1998年(平成10年)にも、台風などによる大規模な水害が県内で発生しています。

福島市のハザードマップは過去に起きた水害を元に作成されているため、目安にはなりますが、万能とは言えません。これまで被害がなかった地区でも、「今までなかったんだからうちは大丈夫」と安心せず、現実を見て備えましょう。
避難する時には「あれもこれも持ち出さなきゃ」と、物のことを意識してしまいがちですが、まずは自分の命を守りましょう。命さえ助かれば物はあとでも買い直せますから。

「ハザードマップを見たけど、結局、どのタイミングで避難すればいいのか迷う……」という方は、ico.さんが作成した「水害逃げどきチャート」も活用してみてください。

ico.さんが制作した「水害逃げどきチャート」

実はico.さん、2023年9月の豪雨でも自宅前の道路が冠水し、「あわや3度目の被災?!」と覚悟を決めるも、奇跡的に難を逃れたのだそう。その時の体験談もico.さんの防災資料集「防災ポートフォリオ」に残されています。

今度は内水氾濫した話|防災ポートフォリオ -BOUSAI PORTFOLIO-
https://bousai.themedia.jp/posts/47694029

まとめ

「ハザードマップと現実を見よう」
何度も水害で被災し、乗り越えてきたico.さんの言葉には説得力があります。ぜひ皆さんの心に留めておいてほしい言葉です。
「まぁ今じゃなくてもいいよね」、「うちは大丈夫だよね」と、誰もが目を背けたくなるものですが、ひとりひとりが目を逸らさずに自身の命を守る意識を持つことこそ、被害を最小限に抑え、ひいては町全体の防災や早期復旧につながるのだな、と感じています。
ぜひこの記事を防災について見直す機会にしてみてください。

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